山田杏奈「改めて自分は“女優”という仕事を選んだんだなと実感する」友人との会話で感じた仕事への責任感
数々の映画の主役・ヒロイン、『未来への10カウント』(テレビ朝日)『17才の帝国』(NHK総合)といったドラマ出演に続き、7月24日にスタートする新日曜ドラマ『新信長公記 ~クラスメイトは戦国武将~』(日本テレビ系、毎週日曜 午後10:30)ではヒロイン日下部みやび役をつとめる。民放GP帯の連ドラでヒロインをつとめるのは自身初となり、女優として目覚ましいステップアップをみせてくれる山田杏奈に、女優という職業について聞く。
自分自身で「ステップアップしたのかな」って、実感しました
――今回は民放GP帯の連ドラでは“初ヒロイン”となります。自分のなかでステップアップしてきた実感はありますか?
山田:役を演じる際に、より重要な役を任せていただけたりするようになってきたことは素直に嬉しいですし実感します。今まで全くなかったのですが、最近町で声をかけていただくことが急に増えました。仕事終わりですっかり気を抜いた状態で外食しているときだったりするので、ちょっと焦りますけど。
――去年今年と様々な作品で活躍されましたが、それを実感したのはどのタイミングでしょうか?
山田:ちょうど、『17才の帝国』『未来への10カウント』が同じ時期の放送だったので、そのあたりからです。私自身では作品それぞれへの向きあいかたが変わるわけではないのですが、見てくださっている人が多いということを実感できることは、改めて嬉しいことだなと思います。
――やはり、映画よりもテレビのほうが影響は大きいのでしょうか?
山田:映画はある程度ターゲットをしぼってつくられますけれど、テレビは幅広い層の人に向けてつくっているので、そこが大きな違いということだけでしょうか。撮影にかけられる時間も、映画のほうが割とじっくり撮ることが多いんですけれど、ドラマには限られた時間のなかでテンポよくつくるという醍醐味もあったりするので、私はどちらがどうとかは意識はしていません。
――20代になって、女優という職業に対して何か改めて考えたりはしますか?
山田:最近留学していた友人が帰国したり、大学に進学した友人も絶賛就活中みたいで、もっぱらその話題なんですよね。そういう進路の話を聞くと、改めて自分は“女優”という仕事を選んだんだなと実感しています。
――ちなみに、この10年で他の職業を考えたりしたことはありますか?
山田:ないですね。きっと他の職業をやってみれば、自分にあう職業はあるかもしれないですけれど、考えたことがないので。
経験できなかった職種も経験できるのが、この仕事の醍醐味かもしれません
――でも職業でいうと、役柄のなかでいろいろな職種を体験できるじゃないですか。
山田:確かにそうですね。今はまだ学生役が多いですけれど。事務仕事をしたことがないので、普通の会社員の役とかすごく興味があります。あと最近、医療ドラマに出演された方におはなしを聞いたんです。ドラマで演じるのと実際では全くレベルが違うとは思いますが、それでもすごいんですよ。女医さんの役で手術のシーンとか経験してみたいです。今からどんなに頑張ってもお医者さんにはなるのは難しいので、そうやって経験できるのはこのお仕事の醍醐味かもしれません。
このままでいいのかな? と思うことも
――では、女優は天職といったところでしょうか。
山田:天職だったらいいなとは思います。でも、進学・就職と環境が変わっていく友人達をみていると、自分は変わらずこのままでいいのかな? という思いも。きっといろんなことを知る努力や、価値観にふれる機会を自分で意識してつくらないといけないんじゃないかなという焦りはあります。このままだと、すごくせまい範囲しか知らない人になってしまう気がするので。いつか留学をして、がらっと環境を変えてみたりするのもしてみたいですけれど、今は仕事が一番なので、まだ先の話になりそうです。
――ご両親からは、そのあたり何かアドバイスがあったりしますか?
山田:両親は、本当は割と保守的な考えだと思うのですが、何も言わずに応援してくれています。今ではひとり暮らしも4年目に突入して、1人の大人として、自分の人生なんだから自分で決めて生きていかないといけないなとは、益々実感しています。やっぱり、自分のお金だけで生活するようになったことが大きくって。色々価値観が変わった数年間でした。好きな時間に好きなものを食べたり、多少片付けをさぼっても誰にも言われないとか、最初は自分のペースで生活できるのって「なんて楽なんだろう」って思っていたんです。でも体調を崩したときなんか、1人じゃどうにもならないじゃないですか、最近では少しさみしいなって思うことも増えてきましたね。
――誰かが一緒にいてくれたほうがいいなと思ったり?
山田:まだマイペースで過ごす時間も捨てがたいので(笑)。実家にも帰ろうと思えばすぐに帰れますし、会いたいときにすぐ会える距離にいるとわかっているだけで充分です。

山田杏奈(やまだ・あんな)
2001年1月8日。埼玉県出身。2011年に開催された「ちゃおガール☆2011 オーディション」でグランプリを受賞しデビュー。2018年『ミスミソウ』で映画初主演。2019年『小さな恋のうた』第41回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞受賞。2020年ドラマ『荒ぶる季節の乙女どもよ。』でW主演、2021年ドラマ『書けないッ⁉~脚本家 吉丸圭佑の筋書きのない生活~』、2022年『17才の帝国』『未来への10カウント』など話題作に出演。映画は2020年『ジオラマボーイ・パノラマガール』、2021年『樹海村』『ひらいて』に主演、『名もなき世界のエンドロール』『彼女が好きなものは』にヒロイン役で出演など。
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